選ぶ前に決める3つの基準

PCゲームの購入先は、何を重視するかで答えが変わります。判断の軸は大きく3つです。

1つ目はライブラリの管理のしやすさです。ライブラリとは、購入したゲームの一覧のことです。ゲームを1か所にまとめ、フレンド機能やMod配布、家族共有まで使いたいなら、機能が多いストアが向きます。2つ目は価格です。1本あたりの支払いを最小にしたいなら、無料配布や還元、キーショップのバンドルを組み合わせることになります。ただし管理の手間は増えます。3つ目はDRMと手元に残せるかです。DRM(デジタル著作権管理)は、正規の購入者かどうかを確認する仕組みです。DRMが強いほど、ストアのクライアントやオンライン認証なしでは起動しにくくなります。

この3つは両立しにくい関係にあります。どれを優先するかを先に決めてから、以下の比較を読んでください。

6つの観点で並べた比較表

下の表は執筆時点の一般的な仕様をまとめたものです。規約や機能は変更されることがあるため、購入前に各ストアの公式ページで確認してください。

観点SteamEpic GamesストアGOG公式キーショップ
価格と割引大型セールが定期的にある。円建ての地域価格毎週の無料配布と購入額の還元(Epic Rewards)があるセールはあるが、対象作品の数が少ないバンドルやセールで安くなりやすい
返金条件購入から14日以内かつプレイ2時間未満原則14日以内かつプレイ2時間未満。対象外の商品もある購入から30日以内キーを表示・引き換えた後は不可が一般的
DRMとオフラインクライアントが必要。オフラインモードありクライアントが必要。オフラインモードありDRMフリー。インストーラーを保存できる引き換え先のストアに従う
ライブラリの残りやすさ販売終了後もライブラリに残るのが通常同左インストーラーを手元に保存できる引き換え先のストアに従う
家族共有・クラウドセーブSteamファミリーあり。クラウドセーブは対応作品のみライブラリ共有機能なし。クラウドセーブは対応作品のみ共有機能なし。GOG Galaxy経由のクラウドセーブは対応作品のみ引き換え先のストアに従う
日本語対応ストア・クライアントとも日本語対応ストア・クライアントとも日本語対応サイトは日本語非対応。作品ごとに収録言語が異なるサイトの言語は店舗による

Steam:機能は最もそろうが、最安とは限らない

Steamは品ぞろえと機能で最も充実しています。レビュー、フォーラム、Mod配布のワークショップ、Steam Deckとの連携がそろっています。Steamファミリーでは、登録した家族と購入済みゲームを共有できます。返金は購入から14日以内かつプレイ2時間未満なら申請でき、理由を問わず受け付けられるのが通常です。

弱点は価格です。セールは多いものの、同じ作品がキーショップの方が安いことはよくあります。地域価格のため、作品によっては日本の価格が割高に設定されている場合もあります。ゲームの起動にはSteamクライアントが必要です。オフラインモードを使うには、事前にオンラインで一度ログインしておく必要があります。また、Steamで買えるのはゲームそのものではなく利用ライセンスです。この点はEpicも同じです。

Epic Gamesストア:無料配布と還元は強いが、共有機能がない

Epicの最大の強みは、毎週行われる無料配布です。受け取るだけでライブラリに追加され、期間後も残ります。購入額の一部を次回の支払いに使えるEpic Rewardsもあります。還元率はキャンペーンで変わるため、執筆時点の条件はストアで確認してください。返金条件はSteamとほぼ同じです。ただし、返金対象外と明記された商品もあります。

弱点は機能です。ライブラリの家族共有はありません。Steamのワークショップのような公式Mod配布の場もなく、コミュニティ機能は最小限です。実績やクラウドセーブは追加されましたが、対応は作品ごとに異なります。Epic独占で配信される作品は、発売から一定期間ほかのストアで買えません。

GOG:DRMフリーでインストーラーを保存できるが、品ぞろえと日本語に差がある

GOGはDRMフリーの作品だけを販売しています。オフラインインストーラーをダウンロードして保存しておけば、クライアントなしでインストールと起動ができます。専用クライアントのGOG Galaxyは任意で、使えば自動更新や対応作品のクラウドセーブが利用できます。返金は執筆時点の規約で購入から30日以内です。古いPCゲームを現行のWindowsで動くよう調整して販売している点も特徴です。

弱点は品ぞろえです。大手の新作はGOGで販売されないことが多くあります。同じ作品でも、GOG版だけ日本語が収録されていない場合があります。オンライン対戦やクロスプレイが省かれていることもあります。サイトの表示言語に日本語はありません。購入前に、商品ページの対応言語欄を必ず確認してください。家族共有の仕組みはありません。

公式キーショップ:安く買えるが、地域制限と販売元の確認が必要

HumbleやFanaticalは、パブリッシャー(販売元)から正規に仕入れたキーを販売しています。キーとは、Steamなどで入力するとゲームがライブラリに追加されるコードです。引き換えた後はSteamで買った場合と同じように遊べます。家族共有やクラウドセーブも、引き換え先のストアの機能がそのまま使えます。

弱点は3つあります。1つ目は返金です。多くの店舗では、キーを表示した時点で返金できなくなります。Steamの返金制度は、Steam以外で買ったキーには適用されません。2つ目は地域制限です。キーには有効な地域が設定されており、日本では引き換えられないものがあります。商品ページの対応地域の欄を確認してください。3つ目は日本語です。キーの有効地域によっては、日本語が収録されていない版が届く可能性もあります。

正規販売店と非正規マーケットの見分け方

キーを扱うサイトには、個人や業者がキーを転売するマーケットプレイス型のものもあります。そこで出回るキーは入手経路がわかりません。不正な支払いで購入されたキーだった場合、後から無効化されることがあります。見分け方は2つです。まず、出品者を選ぶ画面があるかを見てください。出品者を選ばせるサイトはマーケットプレイス型です。次に、パブリッシャーの公式サイトにある正規販売店の一覧に載っているかを確認します。極端に安い価格は、それだけで警戒すべき理由になります。

重視する点ごとの選び方

ライブラリを1か所にまとめたい人

Steamが向いています。キーショップで買ったSteamキーも同じライブラリに入るため、Steamで遊ぶことを前提に「Steamで買うかSteamキーを買う」と決めれば管理が一本化できます。家族でPCゲームを遊ぶ家庭も、共有機能があるSteamが有力です。

とにかく安く買いたい人

Epicの無料配布を毎週受け取り、欲しい作品は価格比較サイトでSteam・Epic・公式キーショップの価格を並べて安い方で買う方法が現実的です。ライブラリが複数に分かれることと、キーショップでは返金がほぼ効かないことは受け入れる必要があります。体験版やレビューで内容を確かめてから買うと失敗が減ります。

DRMなしで手元に残したい人

GOGが唯一の選択肢に近いです。インストーラーを外付けドライブなどに保存しておけば、ストアの状況に左右されにくくなります。ただし日本語の有無は作品ごとに違うため、日本語で遊びたい作品はGOG版の対応言語を確認し、未収録ならSteam版を選ぶという使い分けになります。

購入前に確認する3項目

どのストアを選ぶ場合でも、購入ボタンを押す前に3つを確認してください。商品ページに日本語が明記されているか。返金の条件がいつまで有効か。キーショップなら日本が対応地域に含まれているか。この3つで判断がつかない場合は、返金条件が明確なSteamかEpicで買うのが最も安全な選択になります。