判断基準:何を優先するかでモードが決まる
入力遅延を最優先するなら、フルスクリーン(排他)が第一候補です。ゲームが画面を直接制御するため、遅延が最も小さくなりやすいからです。
Alt+Tabや別モニターの操作が多いなら、ボーダーレスウィンドウが向いています。切り替えのたびに画面モードが変わらないので、暗転や待ち時間がほぼありません。
デスクトップで他のアプリと並べて遊びたい場合や、画面の一部だけで遊びたい場合はウィンドウを選びます。
なお、Windows 10/11では条件がそろうとボーダーレスでも遅延が排他とほぼ同じになります。モード名だけで決めず、自分の環境で確かめることが前提です。
3つのモードの仕組みの違い
違いを生むのはDWM(デスクトップウィンドウマネージャー)です。DWMは、複数のウィンドウを1枚の画面に合成して表示するWindowsの機能です。
フルスクリーン(排他)では、ゲームがディスプレイを専有してDWMの合成を通りません。解像度やリフレッシュレートも、ゲームが直接切り替えます。
ボーダーレスウィンドウは、枠のないウィンドウを画面いっぱいに広げる方式です。表示は基本的にDWMを経由します。ただし、ゲームがフリップモデル(描画結果をコピーせずに画面へ渡す方式)を使い、上に重なるウィンドウがなければ「独立フリップ」という状態になります。この状態では合成がほぼ省かれ、遅延は排他に近づきます。
ウィンドウは、枠付きで任意のサイズにできるモードです。仕組みはボーダーレスと同じです。ただし他のウィンドウと重なりやすいので、合成される場面が増えます。
注意点として、ゲーム内の表記と実際の動作が一致しないことがあります。DirectX 12の多くのタイトルでは、「フルスクリーン」を選んでも中身はボーダーレス相当です。Windowsの「全画面表示の最適化」も、排他フルスクリーンをボーダーレスに近い動作へ置き換えます。実際の表示方式は、Intelが公開している計測ツールPresentMonのPresentMode欄で確認できます。
6つの観点で比較
| 観点 | フルスクリーン(排他) | ボーダーレスウィンドウ | ウィンドウ |
|---|---|---|---|
| 入力遅延 | 最も低くなりやすい | 独立フリップなら排他と同等。合成されると増える | ボーダーレスと同等か、やや不利 |
| Alt+Tab | 遅い。暗転や最小化が起きる | 速い | 速い |
| マルチモニター | 別画面をクリックすると最小化される場合がある | カーソル移動も操作も自由 | 自由 |
| 配信・録画 | OBSのゲームキャプチャは可。ウィンドウキャプチャは不可 | どのキャプチャ方式でも扱いやすい | 扱いやすい。ウィンドウ単位で切り出せる |
| 解像度変更 | 出力解像度とリフレッシュレートを自由に変えられる | デスクトップ解像度に固定 | ウィンドウサイズを自由に決められる |
| VRR・HDR | 効きやすい | Windowsとドライバーの設定次第 | 設定次第。条件はボーダーレスより厳しい |
VRRとHDRの効き方
VRR(可変リフレッシュレート)は、G-SYNCやFreeSyncのように、モニターの書き換えをフレームの出力タイミングに合わせる機能です。排他フルスクリーンでは最も安定して動作します。
ボーダーレスやウィンドウでVRRを使うには、設定が必要な場合があります。NVIDIA環境では、コントロールパネルのG-SYNC設定でウィンドウモードも対象にします。Windows 11では、設定の「システム > ディスプレイ > グラフィック」にある「ウィンドウ化されたゲームの最適化」(Optimizations for windowed games)が役立ちます。これは古いDirectX 10/11のゲームにもフリップモデルを適用する設定です。VRRとの相性が改善する場合があります。
HDRをボーダーレスやウィンドウで使う場合、Windows側の「HDRを使用する」がオンになっている必要があります。排他フルスクリーンでは、ゲーム側でHDRに切り替えられるタイトルもあります。どちらの場合も、結果はモニター、GPUドライバー、タイトルの組み合わせで変わります。
各モードの弱点
フルスクリーン(排他)
Alt+Tabのたびに画面モードが切り替わるため、数秒の暗転が起きます。タイトルによっては、復帰時にテクスチャが崩れたりクラッシュしたりします。VRAM(GPUのメモリ)に余裕がない環境では、こうした不安定さが出やすい傾向があります。マルチモニター環境では、別画面の操作でゲームが最小化されることがあります。また、解像度の切り替え時にもう一方のモニターがちらつく場合もあります。
ボーダーレスウィンドウ
DWMの合成を経由すると、遅延が1フレーム前後増える場合があります。特に古いDirectX 9/11のゲームで起きやすい現象です。通知やオーバーレイが画面に重なったときも、独立フリップが解除されることがあります。出力解像度はデスクトップと同じに固定されます。負荷を下げたいときは、ゲーム内のレンダリング解像度やアップスケーラー(DLSS、FSRなど)で調整するしかありません。
ウィンドウ
タイトルバーと枠の分だけ画面が狭くなります。他のウィンドウが重なると、合成によって遅延が増えやすくなります。マウスがウィンドウ外へ出てしまう誤操作も起きやすく、カーソル固定の設定がないゲームでは不便です。
用途・環境別に向くモード
競技FPS
まず排他フルスクリーンを選びます。排他が無いタイトルや動作が不安定なタイトルでは、ボーダーレスを選びます。そのうえでPresentMonを使い、独立フリップになっているか確認します。NVIDIA Reflexなど、ゲーム内の低遅延オプションの効果は、表示モードの違いより大きいことが多いです。先にそちらを有効にしてください。
攻略情報や配信を見ながら遊ぶ人
ボーダーレスが向いています。ブラウザやチャットへの切り替えで暗転しないため、ストレスが小さくなります。自分で配信や録画をする場合も、OBSのキャプチャ方式を選ばないので設定で迷いません。
複数モニター環境
ボーダーレスが基本です。サブモニターで操作するたびにゲームが最小化される問題を避けられます。ゲームを画面の一部だけに置きたい場合や、モニターをまたいで配置したい場合はウィンドウを使います。
低スペックPC
出力解像度を下げて負荷を減らしたいなら、排他フルスクリーンが有利です。ただし、Alt+Tab時の不安定さは出やすくなります。ゲーム内にレンダリング解像度の設定やアップスケーラーがあるなら、ボーダーレスで同じ効果を得られます。ウィンドウを小さくして描画する画素数を減らす方法もあります。どれが軽いかは環境で変わるため、同じ場面でフレームレートを比べてから決めてください。
迷ったときの決め方
最初はボーダーレスで遊び、困ったことが起きたら他のモードを試すのが手堅い進め方です。遅延が気になる、またはVRRが効かない場合は排他フルスクリーンを試します。Alt+Tabで暗転や落ちが起きる場合は、ボーダーレスに戻します。画面を並べたい場合はウィンドウにします。判断に迷ったら、PresentMonの表示方式とフレームレートの数値で比べてください。結果はタイトルとPCの組み合わせごとに違うので、遊ぶゲームごとに一度確認しておくと確実です。