最初に症状を確認する

Steamの「ダウンロード」画面を開き、表示されている数値を見ます。ネットワークの速度は出ているのに進まない場合は、ストレージへの書き込みが詰まっている可能性があります。ネットワーク速度自体が低い、または0のままなら、Steam側の設定か回線を疑います。この違いで、どの節から確認すればよいかが変わります。

速度の単位にも注意してください。回線契約の「100Mbps」はビット単位です。Steamの初期表示はバイト単位なので、約12.5MB/sが理論上の上限になります。表示の単位は「設定」→「ダウンロード」の「ダウンロード速度をビット/秒で表示」で切り替えられます。期待値との差が単位の違いだけ、というケースは少なくありません。

ダウンロードが「一時停止」や「予定済み」になっていないかも確認します。この状態では0B/sのまま動きません。大型セールや人気作の発売直後はSteamのサーバーが混み合い、自分の環境に問題がなくても遅くなります。

ダウンロード地域の変更とキャッシュの消去

手間が少なく効果が出やすいのがこの2つです。「設定」→「ダウンロード」の「ダウンロード地域」を、近隣の別の地域に変えて試します。日本からなら「Japan - Tokyo」や「Japan - Osaka」が候補です。自動で選ばれたサーバーが混雑していると、地域を変えるだけで速度が戻ることがあります。

同じ画面の「ダウンロードキャッシュを消去」も実行します。Steamが保持している一時データを削除する機能で、ゲーム本体やセーブデータは消えません。実行後はSteamが再起動し、再ログインを求められます。

速度が戻れば完了です。変化がなければ次の節へ進みます。

帯域制限とゲーム中のダウンロード抑制

「設定」→「ダウンロード」で、「帯域幅を制限」が有効になっていないかを確認します。以前に低い値を設定したまま忘れていると、常に遅い状態が続きます。

ゲームを遊んでいる間だけ止まる場合は、「ゲームプレイ中のダウンロードを許可」の設定が原因です。オフになっていると、プレイ中はダウンロードが一時停止します。Remote Playなどで配信していると遅くなる場合は、「ストリーミング中はダウンロードを制限」を確認します。自動アップデートの時間帯を指定する設定がある場合も、その時間外には更新が始まりません。

設定に問題がなければ、原因はSteamの外にある可能性が高くなります。次は回線を確認します。

回線とルーターを確認する

ブラウザの速度測定サイトで、回線そのものの速度を測ります。測定結果も遅いなら、Steamではなく回線側の問題です。ルーターとモデム(ONU)の電源を切って数分待ち、入れ直します。Wi-Fiの場合は、試しにLANケーブルで有線接続にすると切り分けが早く進みます。VPNを使っている場合は切断して試します。

夜間だけ遅い場合は、回線の混雑が考えられます。日本の光回線では、従来の接続方式(PPPoE)が夜に混雑しやすい傾向があります。契約しているプロバイダがIPv6(IPoE)方式に対応しているかを確認するのも一つの手です。

測定サイトでは速いのにSteamだけ遅い場合は、DNSを確認します。

DNSを変更する

DNSは、サーバーの名前をIPアドレスに変換する仕組みです。プロバイダのDNSが返す接続先によっては、遠いサーバーや混んだサーバーに繋がることがあります。まず、コマンドプロンプトで ipconfig /flushdns を実行してDNSの記録を消去し、Steamを再起動します。

改善しなければ、Windowsのネットワーク設定でDNSサーバーを手動指定します。Googleの 8.8.8.8 やCloudflareの 1.1.1.1 がよく使われます。効果は環境によって違うため、変化がなければ元の自動取得に戻してください。

IPv6を一時的に無効にする

環境によっては、IPv6での接続が不安定なことがダウンロード停止の原因になります。コントロールパネルの「ネットワークと共有センター」→「アダプターの設定の変更」を開き、使っているアダプターのプロパティで「インターネット プロトコル バージョン 6 (TCP/IPv6)」のチェックを外して試します。

これは切り分けのための一時的な操作です。改善しなければ必ず元に戻してください。ネットワークがIPv6前提で構成されている場合、無効化で別の不具合が出ることがあります。

ストレージの空き容量とディスク使用率

ネットワーク速度は出ているのに進まない場合は、ここが本命です。Steamはダウンロードしたデータを一時領域に置いてから、ゲームのファイルに反映します。大型アップデートでは、ゲームの容量とは別に一時的な空き容量が必要です。空きが少ないと、途中で止まったり「ディスク領域を割り当てています」から進まなくなったりします。

空き容量が十分なら、タスクマネージャーの「パフォーマンス」タブでディスクの使用率を確認します。100%に張り付いているなら、書き込みが追いついていません。HDDへのインストールでは特に起こりやすい症状です。他のアプリによるディスク負荷を減らすか、可能ならSSDに新しいライブラリフォルダを作ってインストール先を移します。

セキュリティソフトの影響

セキュリティソフトは、Steamが書き込むファイルを一つずつ検査します。そのため、書き込みが大幅に遅くなることがあります。Windowsセキュリティ以外のソフトを入れている場合は、短時間だけ保護を止めてダウンロード速度を比べます。Steamのフォルダを検査対象から除外すれば速くなる場合もありますが、その分だけ保護は弱まります。除外は自分で判断したうえで行ってください。確認が終わったら保護を必ず有効に戻します。

ライブラリフォルダの修復

ここまでで直らない場合は、ライブラリフォルダの権限や構成に問題がある可能性があります。「設定」→「ストレージ」で対象のドライブを選び、右側の「…」メニューから「フォルダを修復」を実行します。特定のゲームだけ止まる場合は、ゲームのプロパティの「インストール済みファイル」で「ゲームファイルの整合性を確認」も試します。

それでも直らない場合

PCを再起動したうえで、ここまでで変更した設定を一つずつ戻し、症状が変わる箇所を探します。別のゲームでも同じ症状が出るかを確かめると、原因がゲーム側とPC側のどちらにあるかを絞り込めます。どのゲームでも遅く、回線の測定結果も遅いなら、プロバイダへの相談が次の手です。Steamだけで起きる場合は、試した手順を控えたうえでSteamサポートに問い合わせると、やり取りが短く済みます。