症状を3つのタイプに分ける

同じ「重い」でも、症状の出方によって疑うべき原因が変わります。最初に、自分の症状が次のどれに近いかを決めます。

症状出方優先して疑うもの
常に重い起動直後からずっとFPSが低い電源設定、GPU選択、温度、ドライバー
特定の場面だけ重い新しいエリアや、エフェクトの多い場面で落ちるシェーダーコンパイル、VRAM・メモリ不足、ストレージ
定期的に一瞬止まる数秒〜数十秒おきに引っかかる常駐ソフト、温度、ドライバー

以下の確認1〜7は、手間が少なく可能性が高い順に並べています。どの症状でも上から順に進めて構いません。ただし表で「優先して疑うもの」に挙がっている節は、特に念入りに確認してください。FPS(1秒あたりに描画される画面の枚数)は、Steamの「設定」→「ゲーム中」にあるゲーム内FPSカウンターで表示できます。対処の前後で、同じ場所・同じ設定で数値を比べてください。どの対処がどれだけ効くかは、PCの構成やゲームによって変わります。

確認1:電源設定とノートPCのGPU選択

ノートPCはACアダプターをつないで試してください。多くの機種では、バッテリーで動いている間はCPUやGPUの性能が抑えられます。次に、Windows 11の「設定」→「システム」→「電源とバッテリー」(機種によっては「電源」)で、「電源モード」を「最適なパフォーマンス」にします。メーカー製の動作モード切り替えツールがある機種では、静音モードや省電力モードになっていないかも確認します。

ノートPCでは、ゲームが内蔵GPU(CPUに組み込まれた描画機能)で動いていると、ずっと重い状態になります。「設定」→「システム」→「ディスプレイ」→「グラフィックス」でゲームの実行ファイルを選び、「高パフォーマンス」を指定してください。NVIDIA製のGPUなら、NVIDIAコントロールパネルの「3D設定の管理」でも指定できます。どちらのGPUが実際に使われているかは、ゲーム中にタスクマネージャーの「パフォーマンス」タブを開くと確認できます。

デスクトップPCでは、モニターのケーブルがマザーボード側ではなくグラフィックボード側の端子に挿さっているかを確認します。あわせて「ディスプレイの詳細設定」で、リフレッシュレートがモニターの対応する値になっているかも見てください。60Hzのままだと、垂直同期が有効なゲームではFPSが60で止まります。ここで改善すれば原因はこれです。変化がなければ確認2へ進みます。

確認2:オーバーレイ・録画・常駐ソフト

録画機能やオーバーレイ(ゲーム画面の上に重ねて表示する機能)は、ゲームと同時に処理を行います。「定期的に一瞬止まる」症状なら、まずここを疑ってください。

一度すべて止めてから1つずつ戻すと、早く原因を絞れます。止める対象は、Steamオーバーレイ、Discordのオーバーレイ、NVIDIA AppやAMD Softwareの録画・インスタントリプレイ機能です。Windowsの「設定」→「ゲーム」→「キャプチャ」にあるバックグラウンド録画も含めます。ハードウェア監視ツールやRGBライティングの制御ソフトは、センサーを定期的に読み取る処理が引っかかりの原因になったという報告があります。あわせて、Windows Update、クラウドストレージの同期、ウイルス対策ソフトのスキャン、Steamのバックグラウンドダウンロードが動いていないかも、タスクマネージャーで確認してください。

すべて止めて直った場合は、1つずつ戻して原因を特定します。変わらなければ確認3へ進みます。

確認3:シェーダーコンパイル

シェーダーは、GPUが描画に使う小さなプログラムです。DirectX 12やVulkanを使うゲームの多くは、これを自分のPC向けに変換(コンパイル)します。プレイ中にこの処理が走ると、初めて見るエフェクトや初めて入るエリアで一瞬止まります。「特定の場面だけ重い」の代表的な原因です。同じ場面を2回目に通ったときに軽くなっていれば、これが原因の可能性が高いです。

起動時に「シェーダーを準備中」のような表示が出るゲームでは、それが終わってから遊んでください。GPUドライバーやゲームを更新した直後は、保存済みの変換結果(シェーダーキャッシュ)が作り直されます。そのため、一時的に引っかかりが増えます。Steamの「設定」→「ダウンロード」には「シェーダー事前キャッシュ」があります。ただし効果があるのは主にVulkanやOpenGLのゲームで、Windowsでは効かないタイトルも多いです。

この種の引っかかりはゲームの作りに左右される部分が大きく、ユーザー側では完全には消せないことがあります。2回目以降も毎回同じ場所で止まるなら、シェーダー以外の原因を考えて確認4へ進みます。

確認4:VRAMとメモリの不足

VRAM(GPU専用のメモリ)が足りなくなると、メインメモリとの間でデータのやり取りが発生します。その結果、場面の切り替わりで大きく引っかかります。テクスチャ品質を高くしたときや、解像度を上げたときに起きやすい症状です。タスクマネージャーの「パフォーマンス」→「GPU」で、「専用GPUメモリ」が上限いっぱいになっていないかを確認してください。設定画面にVRAM使用量の目安を表示するゲームもあります。対処としては、テクスチャ品質を1段下げるのが効果的です。

メインメモリ(RAM)は、同じくタスクマネージャーの「メモリ」で、ゲーム中の使用量を確認します。上限近くまで使われている場合は、ブラウザーなど他のアプリを閉じてから試してください。VRAMにもメモリにも余裕があれば、確認5へ進みます。

確認5:ストレージ

ゲームをHDDにインストールしていると、データの読み込みが追いつかないことがあります。広いマップを移動しているときや、場面が切り替わるときに止まるのが典型です。Steamの「設定」→「ストレージ」から、インストール済みのゲームをSSDに移せます。SSDでも、空き容量が極端に少ないと速度が落ちることがあるので、空きを確保してください。ゲーム中にタスクマネージャーでディスク使用率が100%に張り付いているなら、ストレージが原因と考えられます。

確認6:温度による性能低下

CPUやGPUは、温度が上がりすぎると自動で動作速度(クロック)を下げて自分を守ります(サーマルスロットリング)。「最初は快適なのに、遊んでいるうちに重くなる」ならこれを疑ってください。GPUの温度はタスクマネージャーの「GPU」で見られます。CPUも含めて詳しく見たい場合は、HWiNFOなどの監視ツールを使います。何度まで大丈夫かは製品ごとに違うので、メーカーの仕様を目安にしてください。監視ツール自体が引っかかりの原因になることもあるので、確認が終わったら閉じておきます。

対処は次のとおりです。ファンやヒートシンクのホコリを取る、ノートPCの吸気口・排気口をふさがない、室温を下げる。温度に問題がなければ確認7へ進みます。

確認7:GPUドライバー

GPUドライバーは、NVIDIA AppやAMD SoftwareなどGPUメーカーの公式ツール、または公式サイトから最新版を入れてください。新作ゲームは、ドライバーの更新で動作が改善することがあります。逆に、ドライバーを更新した直後から症状が出たなら、1つ前のバージョンに戻して比べます。更新を何度も重ねて設定がおかしくなっている疑いがあるときは、インストーラーにあるクリーンインストール(設定を初期化して入れ直す)のオプションを使います。更新後はシェーダーキャッシュが作り直されるため、効果は2回目以降のプレイで判断してください。

直らないときの情報の集め方

フレームタイムを計測する

FPSは1秒間の平均なので、一瞬の引っかかりは数字に出にくいです。フレームタイム(1枚の画面を描くのにかかった時間)を見ると、引っかかりがグラフ上の飛び出した部分として現れます。60FPSなら1フレームは約16.7ミリ秒で、そこから大きく跳ね上がった箇所が引っかかりです。計測には、Intelが公開しているPresentMon、CapFrameX、MSI AfterburnerとRivaTuner Statistics Serverの組み合わせなどが使えます。

グラフの跳ね上がりが一定の間隔で出るなら、常駐ソフト(確認2)を見直します。新しい場面でだけ出るなら、シェーダー(確認3)かストレージ(確認5)を見直します。CPUとGPUの使用率も一緒に記録してください。GPU使用率が低いのに重い場合は、GPU以外に原因があると考えられます。

ログとシステム情報を集める

スタートメニューで「信頼性の履歴を表示」と検索すると、信頼性モニターが開きます。ここではアプリやドライバーのエラーを日付順に確認できます。さらに詳しく見るには、イベントビューアーの「Windowsログ」→「システム」で、症状が出た時刻のエラーを探します。Steamの「ヘルプ」→「システム情報」を使うと、PCの構成をまとめて書き出せます。独自のログファイルを残すゲームもありますが、保存場所はタイトルごとに違うので、公式のサポート情報で確認してください。

相談する前に済ませることと、伝える内容

まず、Steamのライブラリでゲームを右クリックし、「プロパティ」→「インストール済みファイル」→「ゲームファイルの整合性を確認」を実行します。これでファイル破損の可能性を除けます。それでも直らなければ、ゲームの公式サポートか、Steamの各ゲームのディスカッション掲示板で相談してください。相談するときは次の情報を伝えます。症状が3つのタイプのどれに当たるか、いつから起きたか(ドライバーやゲームの更新の前か後か)、試した対処とその結果、Steamのシステム情報、フレームタイムのグラフ。同じ症状の報告がたくさんあるなら、ゲーム側の不具合である可能性が高いです。その場合は、修正パッチを待つのも現実的な選択です。