オンラインで遊べない原因は、ゲームのサーバー、Steam、PCの設定、ルーター、回線のどれにもあり得ます。この記事では、原因として多く、確認の手間が少ないものから順に並べています。上から順に確認し、各段階の分岐に従って次へ進んでください。結果は回線の種類、ルーターの機種、ゲームの通信方式によって変わります。

確認の前に:P2P型とサーバー型では見る場所が違う

オンラインゲームの接続方式は大きく分けて2つあります。サーバー型は、運営会社のサーバーに全員が接続する方式です。P2P型(ピア・ツー・ピア)は、プレイヤーのPC同士が直接つながる方式です。P2P型では、誰か1人がホスト(部屋を立てる人)になることが多くあります。どちらの方式かは、公式サイトやFAQに「専用サーバー」「ホスト」「P2P」などの記載があるかで判断できます。フレンドが部屋を立ててほかの人が参加する協力ゲームは、P2P型であることが多いです。

方式主に疑う場所よくある症状
サーバー型ゲーム側の障害、ゲーム内リージョン、ファイアウォール、アンチチートサーバーに接続できない、ログインで止まる
P2P型ホスト側のNATタイプ、UPnP、ポート、二重ルーター特定のフレンドとだけ繋がらない、ロビー参加の直前で失敗する
プレイヤーが立てる専用サーバーサーバーを立てたPCのポート開放とファイアウォールサーバー一覧に表示されない、直接接続がタイムアウトする

サーバー型のゲームでは、ルーター設定が原因になることは比較的少なく、多くは段階1か段階2で解決します。P2P型のゲームは段階3まで進む可能性が高くなります。なお、Steamの中継ネットワーク(Steam Datagram Relay)を使うゲームでは、通信がValveのサーバーを経由します。そのため、P2P型でもNATの影響を受けにくくなっています。

段階1:障害情報、Steamの状態、バージョンの不一致

ゲーム公式の障害情報を確認する

最初に、ゲームの公式サイト、公式X、公式Discordで障害やメンテナンスの告知がないか確認します。Steamのストアページの「ニュース」欄と、コミュニティハブの掲示板も手がかりになります。告知がなくても、同じ症状の報告が直近に集中していればサーバー側の問題を疑えます。障害が原因なら、プレイヤー側でできることはほとんどありません。復旧を待ちます。

Steamのサーバー状況を確認する

フレンドリストが表示されない、招待が届かない、ストアが読み込めないといった症状は、Steam自体の障害が原因の可能性があります。Valveは常設の公式稼働状況ページを公開していません。そのため、steamstat.usなどの非公式サイトや、Steam公式Xアカウントの告知で判断します。Steamは毎週火曜日(米国時間)、日本時間では水曜日の朝に定期メンテナンスを行うことが多く、その時間帯は一時的に接続が不安定になります。

Steamの不調が疑われる場合は、Steamを完全に終了してから起動し直します。画面右下の通知領域にあるSteamアイコンを右クリックし、「終了」を選んでください。

バージョン、MOD、地域、購入プラットフォームを揃える

「ロビーが見つからない」「参加しようとすると失敗する」場合は、お互いの条件が揃っているかを確認します。

まずゲームのバージョンです。片方のアップデートが終わっていないと、同じロビーに入れないゲームがあります。Steamライブラリでゲームを右クリックして「プロパティ」を開き、「ベータ」の項目でベータ版が選ばれていないかを見てください。片方だけがベータ版に参加していると、バージョンが合いません。ファイルの破損が疑われる場合は、同じ画面の「インストール済みファイル」から「ゲームファイルの整合性を確認」を実行します。

次にMODです。MODの有無やバージョンが違うと接続を拒否するゲームがあります。全員がMODを外した状態で試すと、MODが原因かどうかを切り分けられます。ゲーム内のサーバー地域が揃っているかも確認します(詳しくは段階2)。最後に購入したプラットフォームです。Steam版とEpic Games Store版、PC Game Pass版が混在している場合、クロスプレイに対応していないゲームでは一緒に遊べません。対応状況は公式サイトに記載されています。

招待が届かないときに見るSteamの設定

招待だけが届かない場合は、Steamオーバーレイが有効になっているかを確認します。オーバーレイとは、ゲーム中にShift+Tabで開くSteamの画面です。オーバーレイを使って招待するゲームでは、オーバーレイが無効だと招待を送ることも受けることもできません。全体の設定はSteamの「設定」→「ゲーム中」、ゲームごとの設定はプロパティの「一般」にあります。オンライン状況を「オフライン」や「見えない状態」にしていると参加できないゲームもあるため、一度「オンライン」に戻して試します。

ここで状況を振り分けます。全員が同じ症状なら、ゲームかSteamの障害の可能性が高いため、復旧を待ちます。自分だけがどのフレンドともどのサーバーとも繋がらないなら、段階2へ進みます。特定のフレンドとだけ繋がらないなら、段階2を確認したうえでホスト役を交代してみます。交代して繋がるなら、元のホスト側のネットワークが原因の可能性が高いので、段階3でその人の環境を確認します。

段階2:ファイアウォール、セキュリティソフト、リージョン設定

Windowsファイアウォールでゲームが許可されているか確認する

Windowsファイアウォールは、PCに出入りする通信を制限する機能です。ゲームの初回起動時に表示されるアクセス許可の確認で許可しなかった場合、通信が遮断されたままになることがあります。

「Windowsセキュリティ」→「ファイアウォールとネットワーク保護」→「ファイアウォールによるアプリケーションの許可」を開きます。「設定の変更」を押し、ゲームの実行ファイルとSteamにチェックが入っているかを確認してください。一覧には「プライベート」と「パブリック」の列があり、接続中のネットワークの種類と同じ側にチェックが必要です。自宅のネットワークでも「パブリック」として扱われていることがあるため、両方の列を確認します。一覧にゲームがない場合は、「別のアプリの許可」から実行ファイルを追加します。

セキュリティソフトとアンチチートを確認する

市販のセキュリティソフトを入れている場合は、Windowsファイアウォールの代わりにそのソフトのファイアウォールが動いていることがあります。ゲームとSteamを例外(除外)に登録するか、保護機能を一時的に止めて接続を試します。止めて繋がるなら、原因はそのソフトです。その場合は例外を登録してから保護を元に戻してください。保護を止めたまま使い続けるのは避けます。

Easy Anti-CheatやBattlEyeなどのアンチチート(不正防止ツール)を使うゲームでは、そのサービスが正常に動いていないとサーバーへの接続を拒否されることがあります。多くの場合、ゲームファイルの整合性の確認で修復されます。ゲームのフォルダに修復用のツールが同梱されている場合もあります。

Steamのダウンロード地域とゲーム内リージョンを確認する

Steamの「設定」→「ダウンロード」にある「ダウンロード地域」は、ゲームやアップデートをダウンロードするサーバーの場所を決める設定です。基本的に、マルチプレイの接続先には影響しません。ただし、ダウンロードが遅いせいでアップデートが終わらず、バージョンが揃わないこともあります。その場合は、近くの別の地域に変更すると改善することがあります。

マルチプレイで影響が大きいのは、ゲーム内のサーバー地域(リージョン)の設定です。ゲームによっては、地域が違うとロビーが表示されません。自動設定では遅延(ping、通信の応答時間)が少ない地域が選ばれることが多いため、海外のフレンドと遊ぶ場合は全員が手動で同じ地域を選ぶ必要があります。

ここでも振り分けます。例外の登録やリージョンの変更で直れば、確認は終わりです。サーバー型のゲームで変化がない場合は、スマートフォンのテザリングなど別の回線で接続してみます。テザリングで繋がるなら、自宅の回線かルーターに原因があるため段階3へ進みます。テザリングでも繋がらないなら、PCかアカウントに原因が残っているため、最後の節に進みます。テザリング回線はNATの条件が厳しいことが多いため、この方法はサーバー型のゲームの切り分けに向いています。P2P型のゲームで特定の相手と繋がらない場合は、そのまま段階3へ進みます。

段階3:ルーターと回線の設定

NATタイプを確認する

NAT(ネットワークアドレス変換)は、家庭内の複数の機器を1つのグローバルIPアドレスでインターネットにつなぐ仕組みです。NATの種類によって、外から入ってくる通信を受け付けられるかどうかが変わります。一般に「オープン」「モデレート」「ストリクト」のように分類されます。ストリクトに近いほど、P2Pの接続は失敗しやすくなります。

NATタイプを表示する機能を持つゲームがあります。ゲーム側で確認できない場合は、WindowsのXboxアプリの設定にあるネットワークの項目で確認できます。ただし、この表示はXboxのサービス向けの判定であり、ゲームによっては結果が異なります。P2P型のゲームでは、ホストのNATが厳しいとほかの人が参加できません。NATの条件が最も緩い人がホストを務めるだけで解決することがあります。

UPnPを有効にする

UPnPは、ゲームなどのアプリが必要なポートを自動でルーターに開けさせる機能です。ルーターの管理画面(ブラウザで192.168.x.1などのアドレスを開くことが多い)で、UPnPが有効になっているかを確認します。有効にしたらルーターとPCを再起動し、NATタイプが改善したかを見ます。UPnPは対応したアプリが自由にポートを開けられる仕組みです。そのため、セキュリティ上の理由から初期状態で無効にしているルーターもあります。

ポートを手動で開放する

UPnPで改善しない場合は、ゲームが使うポートを手動で開放します(ポートフォワーディング)。必要なポート番号は、ゲームの公式サポートページで確認してください。手順はルーターの機種ごとに異なります。開放先のPCのローカルIPアドレスが変わると設定が効かなくなるため、ルーターのDHCP設定でPCのアドレスを固定(予約)しておきます。プレイヤーが立てる専用サーバーの場合、ポート開放が必要なのはサーバーを立てたPC側だけです。開放したポートは外部からの入り口になるため、使わなくなったら閉じます。

IPv6(IPoE)回線ではポート開放に制限がある

日本の光回線では、IPv6 IPoEと「IPv4 over IPv6」を組み合わせた接続方式が広く使われています。名称はv6プラス、transix、OCNバーチャルコネクトなど、プロバイダによって異なります。この方式では、IPv4のアドレスを複数の契約者で共有するため、ポート開放やUPnPに制限があります。

MAP-E方式(v6プラスなど)では、契約者ごとに割り当てられた範囲のポートしか使えません。そのため、ゲームが指定するポートを開放できないことがあります。DS-Lite方式(transixなど)では、利用者側でIPv4のポートを開放できません。P2P型のゲームで繋がらず、これらの方式を使っている場合は、固定IPアドレスのオプションやPPPoE接続を併用できるかをプロバイダに確認します。ルーターによっては、特定の通信だけをPPPoEで流す設定ができる機種もあります。

二重ルーターを解消する

二重ルーターとは、回線事業者から貸与されたホームゲートウェイ(ルーター機能付きの機器)の後ろに、自分で用意したルーターをルーターモードのままつないでいる状態です。NATが2回かかるため、後ろ側のルーターでUPnPやポート開放を設定しても効きません。

確認するには、自分のルーターの管理画面で、WAN側(インターネット側)のIPアドレスを見ます。192.168.、10.、172.16.〜172.31.で始まるアドレスなら、その手前にもう1台ルーターがあります。100.64.〜100.127.で始まるアドレスなら、プロバイダ側でアドレスが共有されている(CGNAT)可能性があります。二重ルーターの場合は、どちらか1台をブリッジモード(アクセスポイントモード)に切り替えて、ルーター機能を1台にまとめます。どちらを残すかは回線の方式や契約によって変わるため、機器の説明書やプロバイダの案内を確認してください。

VPNを切って試す

VPNを使っていると、通信が別の国のサーバーを経由します。そのため、ゲーム内の地域判定がずれたり、遅延が増えたりします。VPN経由の接続を拒否するゲームもあります。原因を切り分けている間は、VPNを切った状態で試します。

ここまでで自分のNATがオープンかモデレートになっても特定のフレンドと繋がらない場合は、相手側のNATが厳しい可能性があります。相手にも同じ確認をしてもらうか、ホストを交代します。

それでも繋がらないときの次の手

最後に、問題がどの範囲で起きているかで次の連絡先を決めます。どのゲームでもオンライン接続ができない場合は、回線かルーター本体の問題が疑われます。ルーターのファームウェア更新や初期化を試し、それでも直らなければプロバイダに問い合わせます。1つのゲームだけで起きている場合は、そのゲームのサポート窓口に問い合わせます。Steamのフレンド機能やアカウントに関わる問題は、Steamサポートが窓口です。

問い合わせるときは、次の情報を添えると原因を絞り込んでもらいやすくなります。表示されたエラーメッセージやエラーコード、発生した日時、NATタイプ、回線の方式とプロバイダ名、ルーターの機種名、ホストを交代したときやテザリングで試したときの結果です。この記事の手順を進めながらメモしておくと、そのまま伝えられます。